【解説】観光庁からでた災害ボランティアバスに関する通知について(9/29情報更新)

2017/7/28に観光庁から災害時のボランティアツアー(いわゆる災害ボランティアバス)について、一定条件のもとにNPOやボランティア団体が実施しても旅行業法に抵触しないという通知が出ました。

ボランティアツアー容認、豪雨被災地 緊急性重視(読売新聞2017/7/29)
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20170729-OYS1T50000.html

(7/31 16:15追記)
観光庁ホームページより、通知全文
7/28 9/29時点での対象災害と期間
現時点では九州北部豪雨のみおよび秋田水害、熊本地震で、終了時期は追って決定するようです。
(※8/3に秋田水害も対象災害に追加されました)
(※8/8に熊本地震も対象災害に追加されました)
(※9/22に台風18号による被災地域(大分県)が追加されました)
(※9/22に秋田水害の対象指定が9/30で終了することが発表されました)

災害時のボランティアツアー実施に係る通知の適用となる地域一覧(2017/9/29表追記)

災害名 適用開始年月日 適用終了年月日
(公表日)
平成29年7月九州北部豪雨 2017/7/28
平成29年7月22日からの梅雨前線に伴う
大雨による被災地域(秋田県)
2017/8/3 2017/9/30
(2017/9/22)
平成28年4月14日に発生した熊本地震 2017/8/8
平成29年9月台風18号による被災地域(大分県) 2017/9/22

 

しかし、通知本文を見ても日頃行政文書に親しんでいないひとにとっては? となる部分も多いと思いますので、ざっくり通知の本文解説を試みます。

頑張ってわかりやすく書いたつもりですが、それでも長文になってしまいました。ご容赦ください。
なお、この解説は当団体の解釈ですので、正確なことを知りたい場合は地元都道府県の旅行業法担当部局にお問合せください。
解説に間違いがないよう注意していますが、万が一間違いがある場合はご指摘をお願いします。連絡先(webmaster(あっとまーく)v-bosaimie.jp)

−−−−観光庁通知 解説−−−−

今回の通知では、ボランティア、NPO団体などが災害時に現地への移動手段の提供を伴うボランティアの募集(いわゆる災害ボランティアバス)を、一定条件を満たせば団体主催で行っても旅行業違反とはならない、という線引きを示しています。

(一定条件)
 名簿提出・期間限定・運営体制 の3つがポイントです。

<名簿提出>
・ボランティア、NPO団体の場合は、事前に参加者名簿を提出すること(提出先については後述)
・行政や社協などが行う場合は、参加者を把握すること

<期間限定>
・観光庁が災害毎に定める適用期間内

<運営体制>
・ボランティアバス事業を安全に実施するための運営体制を構築すること
・責任者を置く、事業実施中に連絡が取れるようにしておく
・関連法令についての知識がある
・事業実施中に安全面について判断する能力を持っている
・損害賠償責任保険等に入っておく など

つまり、名簿の届け出をしていない活動は旅行業違反に問われます。
また、災害ボランティアバスであっても、一定期間後は旅行業法違反に問われます。
(もうひとつの、安全に事業をできる運営体制というのは法律以前の大前提ですよね)

(名簿提出先について)
通知には以下届け出先の例示がされています。

『被災又は送り出しの自治体又は社会福祉協議会等準公的団体』

つまり、被災地自治体、または団体のある地元の自治体、または、それぞれの社会福祉協議会 などが想定されています。
(「準公的団体」って何とは聞かないでください。私にもよくわかりません… まあ、みんなが納得する名簿届け出先? 位のニュアンスかと)

ただ、ここにまだ課題があります。
実は、どんな書式で名簿を出せば良いのか? ちゃんと受領してもらえたかどうかの確認、参加者側が参加する活動についてきちんと登録されているか確認できる方法などについては観光庁からは7/29現在、提示されていません。
みなさんの地元社協に「こんな通知がでたからうちの災害ボラバスの名簿を受けとってください!」と今すぐお願いしても「???」となってしまいますので、この通知を受けてどのように名簿を受けとるのか、という届け出の仕組みができあがるまで、少し時間が必要と思います。

(結局、何ができるようになったのか?)

この通知を受けて、災害ボランティアバスを出す団体は、上に書いた一定条件を満たす期間、名簿を適切に届け出ることで、以下のようなことが可能になります。

  1. 団体主催で災害ボランティアバスの参加者を募集・申込受付・代金収受すること
  2. 有償の交通手段や宿泊を手配し、参加費として一括で代金収受、バス会社や宿泊施設に支払いすること

もう少し実務者的に踏み込んだ言い方をすれば

  1. 旅行業者を使う場合、本来業者が担当しなければならない募集・申込受付や集金等を団体側で行えるため、事業を主体的・災害状況に合わせ柔軟に行えるようになり、(計算上は)旅行代金も安くなる
  2. 旅行業者を使えない事情(繁忙期等で手配を受けてもらえない、経費的に合わないなど)がある場合、緊急性が高い(観光庁が定める)期間は災害ボランティアバス事業を自前で実施できる

ということです。

あくまで災害ボランティアバスで、かつ各災害毎に観光庁が定める期間内に限りできる様になります。他の活動や、災害ボランティアバスでも期間を過ぎた場合、これらの行為を団体が行うと旅行業法に抵触しますので注意が必要です。

また、旅行業法や今回の通知では触れていませんが、ボランティアツアーを自前の車両(自家用車やワゴン、マイクロバスなど)で行う場合は、別の法律(道路運送法)に関する配慮が必要になります。この場合どうすれば良いかは、ぜひ当法人が作成した冊子 「みえ発!災害ボラパック~安全運行・法令遵守編~」 をご覧ください。

—-解説ここまで—-

当法人で赤い羽根共同募金さまに助成を頂いて作成した「みえ発!災害ボラパック~安全運行・法令遵守編~」も、今回の通知を反映して修正する必要が出てきたため、取り急ぎ通知によって変化が起こる箇所にのみ赤字で追記をしたバージョンを公開しました。

とはいえ、平常時や、観光庁が定めた期間を過ぎた後に対しては今のままで活用できるので、期間を気にせず、発災直後から復旧〜復興期に掛けて息長く災害ボランティアバス事業を実施する予定の団体は、現在のマニュアルがそのまま活用していただけます。

(災害ボランティアバスと旅行業法について、さらに追加情報が有れば随時情報を更新していきます)

旅行業者、バス会社のみなさまへ

今回の通知を受けて、観光庁が定める一定期間、災害ボランティアバス・ツアーは、学校が主催する学生対象の旅行や、職場の慰安旅行と同様に扱って良いことになりました。(幹事を通した一括申込や代金の一括支払いなど)
被災した方々に多くの善意を安全に円滑に届けるためには専門性を持ったみなさまの知識や安全に対する取組、特別補償規定など万が一の備えが大変重要になります。
ぜひ、被災された方々の力になれるよう災害ボランティアバス・ツアー事業を支えていただければ幸いです。

最後に、通知の抜粋を記載します。

−−−−2017/7/28 観光庁通知(抜粋)−−−−

(抜粋はみえ防災市民会議で行いました。通知の引用部は『(引用)』で示しています。)

概要

『旅行業法の目的である旅行者の安全・利便性の確保を引き続き図りつつ、緊急性・公益性の高いボランティアツアーを円滑かつ迅速に実施できるよう、現行の旅行業法に抵触せずに運送サービス、宿泊サービスを提供できる方法について、ボランティアに限定して下記のように運用することとします。』

災害時のボランティアに限った運用の内容

『当該団体がボランティアツアーの募集や料金収受を行った場合でも、日常的な接触のある団体内部での行為とみなし、旅行業法に抵触しないこととする。』

適用を受ける条件

  • 主催者
    『発災を受けて組成されたボランティア団体、又は発災を受けて参加者を募集するNPO法人や自治体、大学等』
  • 条件
    『事前に参加者名簿を被災又は送り出しの自治体又は社会福祉協議会等準公的団体に提出すること』
    『ボランティアツアーを主催する自治体又は社会福祉協議会等準公的団体も、同様に参加者を把握すること』
  • 必要な措置
    『①旅行の企画・募集の段階から責任を持って遂行できる責任者を置くこと。
     ②当該責任者は催行しようとする旅行に関する法令について確実な知識を持つこと。
     ③当該責任者が旅程が安全面において問題なく、かつ旅行目的を達成していると判断する能力を有すること。
     ④旅行中に連絡が取れる責任者を置くこと。
     ⑤事故発生時の損害賠償に備えて損害賠償責任保険加入等の措置が取られていること。』
  • 期間
    『観光庁にて、被災の規模・状況に応じて、後日、適用の終期を示す』

−−−−抜粋ここまで−−−−


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